【消費税還付に影響】「事業を開始した日」の正しい判断基準を解説!個人事業主は要注意

こんにちは。足立区北千住の税理士根岸です。

消費税法における「事業を開始した日」は、所得税法における「事業を開始した日」とは解釈が異なります。これを誤ると、受けられるはずだった税額の還付を受けられなくなるなどの重大な税務上のリスクが生じます。

今回は、消費税法上の「事業を開始した日」について、個人事業主と法人の場合に分けて解説します。

目次

個人事業主の場合

所得税法における「事業を開始した日」

所得税法における「事業を開始した日」がいつなのかということについて法令上は特段の定めがなく、実務上は「開業日」のことを言うものと考えられます。税務署に提出する開業届にも、この開業日を記載します。

消費税法における「事業を開始した日」

一方、消費税法における「事業を開始した日」については、「開業準備行為を行った日」とされています。ここが所得税法とは大きく異なる点です。

開業準備行為とは、具体的には次のような行為が考えられます。

  • 店舗や事務所の賃貸借契約の締結
  • 資産の取得契約の締結
  • 商品や材料の仕入れ など

なぜ「事業を開始した日」の特定が重要なのか?

開業年に内装工事など多額の設備投資を行う場合には、「消費税課税事業者選択届出書」(以下「課税事業者選択届出書」)を提出し、あえて課税事業者になることにより消費税の還付を受けることができる場合があります。

課税事業者選択届出書は、通常、提出した年の翌年から課税事業者になりますが、事業を開始した年においては、提出した年から課税事業者になることができます。

このため、事業を開始した日を特定することが極めて重要なのです。事業を開始した日がいつなのかによって、いつまでに届出を出せば初年度から課税事業者になれるのか(=還付を受けられるのか)が変わってきてしまいます。

【還付を受けるための具体例】
開業年である令和8年から課税事業者になり、消費税の還付を受けたい場合を想定します。

・開業日→令和8年5月1日
・開業準備行為を行った日→令和7年10月1日(内装工事契約の締結)
※実際の工事完了・引渡し及び支払いは令和8年中に行われる前提

この場合、消費税法の事業を開始した日は、内装工事契約の締結日である「令和7年10月1日」となります。
したがって、翌年である令和8年から課税事業者になるためには、課税事業者選択届出書を原則通り令和7年12月31日までに提出する必要があるのです。「令和8年に開業するから、令和8年中に提出すればいい」と勘違いしていると、還付を受け損ねてしまいます。

【インボイス制度の経過措置による例外】
ただし、インボイス制度の経過措置が適用されている令和11年までに限っては、インボイスの登録申請書に登録希望日(提出日から15日以後の日付)を記載することで、課税期間の途中でも登録希望日から課税事業者になることが可能です。この場合、課税事業者選択届出書を提出する必要はありません。

法人の場合

法人税法・消費税法における「事業を開始した日」

法人税法における「事業を開始した日」は法人の設立登記日とされています。
そして、消費税法における「事業を開始した日」についても同様に法人の設立登記日となります。

法人の場合は、設立日前に開業準備行為を行っていたとしても、設立初年度中に課税事業者選択届出書を提出すれば、開業準備に関する課税仕入れはすべて設立初年度の課税仕入れとすることができます。法人税法及び消費税法における事業を開始した日は一致することから、個人事業主のように課税事業者選択届出書の提出タイミングがずれたことにより消費税の還付を受け損なうことはありません。

設立初年度に事業活動を行っていない場合の例外

設立初年度に設立登記を行ったのみで事業活動を行っていない場合は、実質的に事業活動を開始した日が事業を「開始した日」となります。
つまり、事業活動を開始した年度中に課税事業者選択届出書を提出することで、その年度から課税事業者になることができます。

最後に

消費税法における「事業を開始した日」について解説しました。

特に個人事業主の方は注意が必要です。消費税関係の届出は一日でも遅れると手遅れになってしまうものが多く、多額の損失を被る恐れがあります。設備投資や還付の判断に迷う場合は、手遅れになる前に税理士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

この記事の監修・執筆者

根岸税理士事務所
税理士 根岸 峻佑
登録番号:第156008号
所属:東京税理士会足立支部
freee認定アドバイザー

東京都足立区の北千住で税理士事務所を営んでいます。
30代半ばに地方公務員を辞め、4年の期間を経て税理士に転身しました。プライベートでは小学生と保育園児の娘を育てる2児の父です。
当ブログでは、freee会計を活用した記帳・経理業務の効率化や税務会計に関するお役立ち情報を発信しています。

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本記事の内容は、公開時点の各種法令に基づき記載をしているため、記載内容が必ずしも最新の情報であるとは限りません。各種法令は改正される可能性がある上、個別の状況によって税務上の取扱いは異なります。

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